常位胎盤早期剥離

昔は妊婦の注意すべき合併症として、妊娠中毒症ばかり取り上げられていたが、最近は予防法も大分確立し、頻度は減少しているそうだ。それよりももっと注意すべきで重大な合併症が「常位胎盤早期剥離」とのこと。

胎盤早期剥離−日本産婦人科学会


 常位胎盤早期剥離(早剥と略)は突然に発症し,急激に進行する母児共に生命の危険を及ぼす緊急疾患である.周産期に大出血を来す疾患の中でも,DIC(播種性血管内凝固症候群:Disseminated Intravascular Coagulation 血管内皮細胞障害,血小板活性化,凝固促進などが起こり,微小血管内にフィブリン血栓が全身性に発生して循環不全による多臓器不全と血栓形成による血小板と凝固因子の低下による消費性凝固障害が併存する病態)を発症する頻度が極めて高く(60%),また重症化しやすいので,できる限り早期に診断し,対策を講じる必要がある.
日本母性保護産婦人科医会の調査でも,早剥は推定母体死亡原因の上位を占めている.

早剥の定義・頻度
 一般に妊娠20週以降に,正常位置に付着する胎盤の一部が児娩出前に剥離し,その部に出血が起こる状態(胎盤後血腫)をいう.発生頻度は文献により異なるが,全妊婦の0.49〜1.29%といわれる.しかし無症状の軽症のものは診断されない可能性がある.

早剥の病態
 脱落膜基底部に出血が起こり,その脱落膜血腫が増大して胎盤剥離が進行し,剥離部に血液が貯留して凝固する(胎盤後血腫).出血が多量になると血腫は増大し,一部は卵膜外を伝わり赤褐色の外出血として腟へ流出する.胎盤辺縁や卵膜の接着が強い場合は外出血がないことがある.卵膜に裂口があれば血性羊水となる.
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 外出血量は内出血量に比較して少量であることが多く,外出血量のみ気にしていると急速に出血性ショックになることがある.
 DIC が発生すると出血性ショックは増悪し,それが更にDIC を進行させるという悪循環が起こる.したがって,DIC に対する検査と抗DIC 療法は,早剥では特に早期からの開始がよい.
 重症早剥で子宮筋層への血液浸潤が高度になると,子宮壁が黒色となり(Couve-laire 子宮),遂には壊死に陥って収縮しなくなることがあるが,その際には子宮摘除が必要となる.
 胎盤後血腫が増大すると,その刺激と子宮内圧亢進によって子宮は不規則に収縮し,進行すると持続的な子宮硬直となり,腹壁上から板状硬として触れるようになる.

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早剥の原因・発生機序
 発生原因は現在まだ不明といわざるを得ないが,近年いくつかの新知見が得られている.従来,早剥は妊娠中毒症による血管変化を主原因と考える説が有力で,事実妊娠中毒症に早剥が高頻度に認められていた. しかし近年の多くの検討によって,非妊娠中毒症性早剥が著しく増加しており,全早剥例中の2/3〜3/4を占めるといわれるようになって,妊娠中毒症は早剥のリスク因子のひとつという考えに変わってきている.
 原因として最近CAM(絨毛羊膜炎)が注目されている.CAM による早剥胎盤の剥離部では,接着に重要な働きを行うフィブロネクチンのレセプターが好中球から放出される蛋白分解酵素(エラスターゼ)によって分解されて減少し,脱落膜の接着性低下をもたらすと推論されている.更にこれにサイトカインが関与するとの報告もある.
 早剥には胎盤のアポトーシス(細胞死)が関連するという報告もなされており,早剥部の胎盤絨毛にアポトーシスが高度に認められている.またアポトーシスに誘導する要因にCAM の関与が考えられている.

早剥のリスク因子
1.早剥の既往(反復発生率は5.5〜16.6%)
2.妊娠中毒症・高血圧合併妊娠
3.急速な子宮内圧低下(羊水過多,多胎)
4.子宮壁への外力(打撲,外廻転術)
5.臍帯過短
6.子宮奇形.子宮腫瘍(子宮筋腫)
 子宮筋腫合併で,結節部に胎盤付着があると早剥が起こりやすい
7.喫煙
8.薬物( コカイン,アスピリン)
 低用量アスピリン療法は早剥頻度を上昇させるとの報告がある.
9.高齢妊娠,多産
 30歳以上の妊婦では,30歳以下の妊婦より早剥頻度は5倍高く,また多産婦でも頻度は上昇する
10.代謝異常(葉酸欠乏,高ホモシステイン血症)
 高ホモシステイン血症と反復早剥との関連が最近報告されている
11.感染( 絨毛羊膜炎)
12.下大静脈圧迫によるうっ血
13.胎盤血管腫

早剥の症状
 早剥の予知・予防に適確な方法は現在ないので,リスク因子を念頭に置いて早期に早剥を疑い,診断することが大切である.時間を経過するほど早剥は重症化し,母児の予後は悪くなる.
1.臨床症状
1)性器出血(外出血):
 赤褐色出血.陣痛間欠時に増量傾向.外出血より内出血(胎盤後血腫)が多量.ときに外出血なし.ときに血性羊水を認める.
2)子宮収縮と子宮壁圧痛:
 不規則・頻回の子宮収縮又は持続的子宮収縮.子宮筋トーヌス上昇.剥離部子宮壁の自発痛・圧痛.後に腹壁(子宮壁)板状硬.
3)急性貧血症状,ショック症状,DIC 症状

 早剥は現在でも母児にとって極めて危険な疾患であり,常にDIC 発生を予測しながら早期診断に努めなければならない.早期からの適切な管理と迅速な対応は,本疾患の予後の改善につながると考えられる.

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Category : 妊娠 | Thema : マタニティライフ | Genre : 結婚・家庭生活 |

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2006年11月9日に不妊治療の末、長女ハルを出産し子育てについていろいろ勉強中です。2009年4月からハルは(幼児教育に力をいれた)幼稚園です。
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